2016/10/18

Part 5: ハーレーダビッドソンのフューエルインジェクション (EFI)チューニングについて。

ではエアクリーナー、マフラーを交換した時にどのくらい空燃比がズレるのか? 

Part1~Part4までエアクリーナーやマフラーなど交換した際に、エンジン内への空気流入量が変わってしまうことをご説明してきました。 また、インジェクションシステムには、自動的にその変わってしまった460カ所以上もある空気流入量を補正する機能は基本的にありません。

興味深い実験例があります。
マフラーを交換しただけで、空燃比がどのくらいズレるかを実験しました。
実験車両は、JIMS135 (2212cc)エンジンを搭載した2010年ロードグライドです。

上の写真は、ECMにプログラムした空燃比の指示になります。
分かりやすくする為に、空燃比の指定が全て13.2になっています。
これは、どの領域も空燃比13.2:1で走るようにECMに指示したことになります。
つまり、フロントとリアのヘッダーパイプに取り付けられた空燃比計から13.2という数字が検出されれば空気流入量のチューニングが出来ているということになります。

それでは、空燃比をサンプリングしたデータを見てみましょう。



マフラーは、D&D社のBoss Boarzilla 2:1(ボス・ボアジラ)です。
上の写真は、実走してサンプリングしたフロントの空燃比です。
多くの部分が、13.2前後になっているかと思います。
こちらが指定した空燃比は13.2ですから、かなり揃ってきていると言えます。



次にマフラーのみ、Burn's Stainless社のNhBエキゾーストシステムに交換してみました。
D&Dのボアジラに比べて太くて短いマフラーです。
勿論、ECMのマップは、前回から変更していません。

空燃比をサンプリングした結果ですが、どうなったか?一目瞭然です!!
ECMには全域で空燃比は13.2と指示しているにも関わらず、ヘッダーパイプに取り付けた空燃比計から検出された数字は、13.2からはほど遠い数字になっています。
酷いところでは、空燃比が17や18です。
ここまでズレてしまうと、エンジンがクシャミをしたり、エンジン回転が上がらなかったりして、まともには走りません。
これは、マフラーを交換したことにより、エンジン内への空気流入量が大きく変わったことを表しています。

これは極端な例ですが、実際にエアクリーナーやマフラーを変えたりすると、このような恐ろしいことがエンジン内では起っています。
この結果をみても分かる通り、コンピューターが調子良くなるように勝手に補正してくれることはないのです。
空燃比が15、16くらいまで薄くなっていても、乗り手が気が付くことはまずないでしょう。
ベースマップや専用マップと言われて用意されたマップでも、もちろん空燃比はズレています。
それらのマップを基にサンプリングデータを見て一台づつチューニングを行う必要があるのです。
どうしてもデジタルの目で確認するということが大切です。

つづく・・・・


EFIチューニングについてのPart1は、こちら。
EFIチューニングについてのPart2は、こちら。
EFIチューニングについてのPart3は、こちら。
EFIチューニングについてのPart4は、こちら。

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